ONESTAR
「ジャムがないと食べられないって駄々をこねるほど、あたし、子供じゃないわ。」

ぷんと怒った顔で、

ねーちゃんは、バターを塗ったトーストを齧る。

サクッと言う音が、

響くくらい、シーンとした食卓の床に、

親父がバサっと音を立てて読んでた新聞を落とした。

今、

ねーちゃん、

おふくろのこと、

お母さんって言った?

エプロンを手にしたまま、

立ち尽くしてたおふくろの両目から、

涙が流れ出すのと、

親父がバサバサ言わせながら慌てて新聞を拾うのが同時だった。
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