ONESTAR
何もかもが、だ。

何だって俺はこんなところで酒を飲んでるんだ?

好きな女の頼みだからって、何だって片思いの後押しなんてしなきゃならない?

何だって、

何だって俺は、ねーちゃんの弟なんだろう。

とぼとぼと赤いバッシュを抱えて家に帰った。

アスファルトの道路を裸足で歩いても、
血が出るほどの痛みなんて感じもしなかった。

まるで、昔のように、部屋から一歩も出たくない。

ねーちゃん。

何かあると夜に逃げ込む癖は、あの頃から変わらない。

そうだ。

あの、ねーちゃんの服の端を握ってないと、どこにも行けなかったあの頃。

おれはあの頃からちっとも変わってないのかもしれない。

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