ONESTAR
唇を引き結び、俺を睨みつけるリホコは、怒っていてすらその美しさが陰ることはない。

きれいなリホコ。

そしてそのことを誰よりも知っているリホコ。

おまえは世界で一番きれいだと誰もが言うのに、

たった一人、俺が言わなかったところで大したことじゃねーだろ。

「とにかく、今日は空いてるんでしょ。映画に連れてってくれる約束よ。」

「わかってるって。」

そう答えてもまだ不服そうに唇を歪めるリホコの細い手首を引き寄せて抱きしめる。
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