【第二部】鬼に愛された女
なぜなら、白雲が自分の首筋に刀を突き立て、勢いよく切り裂いたからだ
血が飛び散り、数滴琥珀の頬につく
白雲の目の前に立つ鋼には沢山の血がついていた
「……びゃく、うん」
鋼は目を丸くし、血にまみれる白雲を見つめる
そして白雲は苦しそうに微笑むと、力無くその場に倒れてしまった
「みな……み……」
震える手を南に向け、呼びつける
南はそれに応えるかのように、琥珀を捕らえたまま白雲のもとに歩み寄る