【第二部】鬼に愛された女
「え……?」
鋼の握る力が弱くなる
目を皿のように丸くして、明らかに驚いている
「急にごめんね。鋼には好きな人がいるのに、私の気持ちをぶつけちゃって。……でも、私の気持ちを知ってほしかったから!だから……」
「琥珀様」
静かに、しかしはっきりと琥珀の名を呼ぶ
鋼は琥珀から視線をずらして、こう言った
「自分は……あなたの臣下です。代々百鬼家を守ってきたものです。あなたの気持ちに応えることは出来ません」
「私はあなたの気持ちを知りたいの!家とか関係なく、あなたの気持ちを教えて!」
離さないと言わんばかりに鋼の服をぎゅっと握る