【第二部】鬼に愛された女
鋼のお話
「今、なんとおっしゃいましたか?」
「だから、今日はもう帰ると言ったんだ」
鋼は今、主から衝撃なことを聞き、呆然としていた
今日は朝からせっせと仕事をこなしていた神威だったが、昼になると、突然帰ると言い始めたのだ
「じゃぁ後は任せた」
神威は鋼の肩をポンと叩くと、眠たそうに、だがどこか嬉しそうに部屋を出て行ってしまった
「……はぁ」
思わず鋼の口からため息がもれる
ここ数日、神威は鋼に愚痴をこぼしていた
愚痴と言っても、美月が神威にかまってくれないと、わがままを言ってるだけだ