【第二部】鬼に愛された女
だが鋼は近寄るなと言わんばかりの目で近江を見る
「お兄様……」
「……失礼ですが、あなたは奥方様が不幸せだったと思っているのですか?」
「当たり前だ。こんな死に方するなんてあまりにも可哀想だ」
「確かに可哀想です。ですが決して不幸せでなかったはずです」
近江から琥珀を受け取り、京介に受け渡す
「この子は……」
「頭領と奥方様の娘、琥珀様です」
琥珀は眠っていてる琥珀を見て、京介の手は震えた
「……我々はもう行きます。16年後、また来ます」
鋼と近江は頭を下げ、そっと車に乗り込んだ
そして静かに、車は動き出した