【第二部】鬼に愛された女


真っ赤になって縮こまっていると、近江が桜色の単衣を持ってきた


「これをお召しになってください」


「綺麗……」


そっと桜色の単衣に琥珀は触れた


なめらかな肌触りで、とても落ち着く


「この着物は、琥珀様のお母様の着物なんですよ?」


「お母様の!?」


お母様の着物が私の目の前にある


桜ノ屋敷には、お母様の遺品は一つも無かった





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