【第二部】鬼に愛された女


「……自分はもう行く」

「じゃぁな」


ぶらぶらと手を左右に振って鋼を見送る


鋼は振り向くことなく歩き出す


扉が閉まる音がすると、白雲は静かにこう言った

「隠れてないで出てこいよ」


返答はない


「いるのは知ってる。早く出てこい」


冷たい声でそう言い放つと、女が一人、姿を現した




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