【第二部】鬼に愛された女


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琥珀は今、私室に一人で、うずくまっていた


「鋼の馬鹿……」


こんなのひどいわ


鋼とのやりとりを思い出し、涙で頬を濡らす


「出て行ってやるんだから!」


琥珀はそう決心し、自分が着ていた着物を脱ぎ始め、ここに来たときの直衣を手にした


手際よく着替え終えると、自分が着ていた単衣に目がいった


「お母様の単衣……」


お母様の遺品


持って行っても大丈夫よね?


桜色の単衣を手に取ると、涙を拭いて歩き出した


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