翔る。
「っ…」
ふらつき倒れそうになった身体を
足を踏ん張らせてなんとか持ちこたえた。
「ごめん薫…私バスの中で休んどくね」
…?
「薫?」
返事がないことを不思議に思い、顔を上げた。
サァァァァっと風が静かに通り過ぎる。
「あ…れ?」
薫はいない…?
いや、薫だけじゃない
さっきまでいた同級生、一般の観光客、
さっきまであった小規模な米沢城も、
公園も、神社も何もかもがない。
存在するのは私を囲むように生い茂っている木、だけ。
「ど、どうゆう…こと?」