翔る。




私は部屋に一人だった。


男は「この部屋を好きに使うといい」と言うとさっさとどこかへと去っていった。




好きに使えって…

この部屋、何にもないんですけど…



テレビもないし机もないし、あるのはど真ん中に敷かれた布団だけ。



それに電気のスイッチが見当たらない。


私は布団の隣に灯されている蝋燭の明かりを頼りに壁に目を凝らすが見当たらない。




「蝋燭で一晩過ごせってこと?」



ここってそう言う感じの家なのだろうか?



風情を求めて昔ながらの暮らし、みたいな



ま、それなら何にも言えないか。


泊まらせてもらっている身だし




私はそそくさと布団へ急いだ











< 26 / 85 >

この作品をシェア

pagetop