翔る。
「はっ、…寂しいわけなかろう」
俺は鼻で笑った。
俺が寂しがっているだと?
何を言っているんだ、こいつは。
「お前は馬鹿か?」
ぐるぐると、先ほどあいつが言葉が頭の中で回る。
俺は愛弓を見据える。
女中は少し前に部屋を出て行ったので、ここには俺と愛弓の2人だけしかいない。
よく考えると、こいつと面と向かって会うなど初めてだ。
少し明るめの茶の色の髪がすごく目に入る。
そして女の癖して長さがが肩までしかない、なんとも変な髪型だ。
こいつ…異人か?
いや…でも言葉は通じるし、顔立ちも異国の様なものではない。
「ねえ、なんで戦するの?」
突然、愛弓はそんなことを言い出しだした。
…愚問だな。
「父の仇だ。」