翔る。
ガシャンと音を立てて私の足元に刀が刺さった。
「弱い」
小十郎さんはただ一言そう呟いた。
…見えなかった。
政宗が刀を抜いたのも、小十郎さんが抜いたのも、
そして政宗の刀を小十郎さんがはじいたことも。
「覗き見はあまりよろしくないですね」
小十郎さんは私の方を一度見て歩いていった。
私がここにいること…バレてたんだ。
「くそっ!!」
政宗が近くの木を力いっぱいに殴った。
だけど木は風で小さく木の葉を鳴らすだけだった。