翔る。
「変わっちゃった…な。」
何が?
一体、何が変わったと言うのか。
私じゃない誰かの声に問い返すが、答えは返ってこない。
ーーあの頃はこんなにも灰色がった世界ではなかったのに
じわりと視界が潤んだ。
ああ、もうどうしてこうなってしまうのか。
泣きたくないのに、誰かが勝手に涙を流す。
ーーあの頃はもっと……
「皆さん、米沢城へと到着しました。バスから降りてくださーい。」
ーー美しかったのに。
涙が零れ落ちそうになったときバスガイド陽気な声が聞こえた。
「ほら愛弓、ついたよ!!」
薫が楽しそうな声を聞き、反射的に私は涙を拭いとった。