翔る。
商人が帰り、部屋には私と政宗と小十郎さんだけが残った。
「…ちっ、本当に厄介な女だな貴様は」
静まりかえった部屋で政宗はそう呟いた。
「な、何よ!捕まっちゃったんだから仕方ないでしょ!」
これ以外に戻ってこれる方法なんて思いつかなかったし。
「まず、何か俺に言うことは?」
「……ーっ!!」
くそっ!
ほんとこの上からな感じなんなのよ!
「助けてくれて……その、ありがとう……ございました」
こんなやつに感謝するなんて悔しい!
私は最後の方、恥ずかしさのゆえかとても小さな声になった。
「ん?なんて言ったか聞こえなかったぞ」
嘘つけ!
政宗は耳に手を当てて聞き返す。
絶対に今の聞こえてたはず!
例え私の声が小さいからってこの空間で聞こえていないはずはない。
「……助けてくれてありがとうございました!!!」