翔る。
政宗声…?
それにしては少し高い気がする。
「入るぞ〜」
その声の持ち主は私の返事を聞かずに部屋の障子を開けた。
一瞬の沈黙が訪れる。
この人、誰?
そこには名前も知らない男が立っていた。
どこかしら政宗に似ている。
「あなた、誰?」
そいつは私を隅から隅まで何かを調べるように観る。
いや、誰かって聞いてるんだから名前ぐらい答えてほしい。
「……なんとなく、わかった気がする。」
その男はただそう一言つぶやいた。
私にはその男の言った意味も、その男の名前も全くわからない。
「あんた、名前は?」
私の質問は無視しておいて、答えろってことですか?
なんて自由なの、この男は。