翔る。
「殿が人売りから女を買った。って城中で噂になってるから、どんな女かと思って見にきてみれば……」
ジロリ、と成実さんは私を見る。
やっぱり、そんな噂が流れてるんだ。
小十郎さんの言うとおりだな…
成実さんも小十郎さんのように考えているのだろうか?
「やっぱり私なんか、買われるべきじゃなかったんですよね」
何だかものすごい罪悪感に襲われてそんな言葉が私の口から出た。
いつから私ってこんなにネガティブだったのか。
俯く顔をそっとあげて成実さんを見ると、何故かすごく笑っている。
「そんなことないな。お前は面白い女だ!俺にあんなものの言い方する奴は中々いない。俺もお前を気に入った!」
そういいながらケラケラと笑っている。
一体何が面白いのか。
でも、何故か成実さんのその言葉で心がホッとしたのがとてもわかる。
「まあ、殿があんたを気にかけるのは俺と同じ理由じゃあないだろうがな」