翔る。
「…え?それって、どういうこと?」
政宗が私を気に掛ける理由?
何故か胸が高鳴る。
ドクドク、と心臓が脈打つのがわかる。
「あんたさ、似てるんだよ。
殿が愛するあの姫に」
似てる…?
姫?
何のことだか全くわからなくて頭がついていかない。
「政宗が、愛する…姫?」
そんな話、聞いたこともない。
話についていけていけない私を余所に、成実さんはどんどんと話を進める。
「ああ。
殿の寵愛を御身一身に受ける姫、愛姫様(めごひめ)だよ」
胸が、痛い。
どうしてなのか、心臓を掴まれている様に痛い。
成実さんは放心状態に近い私に歩み寄る。
「その姫にあんたは似てる。
この顔とか、まるで姫をそのまま写したみたいにな」
そう言って成実さんは右手で私の両頬をムギュと挟む。
そして成実さんはそんな私の顔を見て無邪気に笑う。
「ま、愛にはこんなことできないけどな!」