翔る。
「ほら愛弓!!あっちに行こう!!」
薫がグイグイと手を引き城らしき方へと向かった。
「これが…米沢城」
――――チガウ
キンと頭の中で響いた。
「愛弓、ほら上杉兼信だって~」
薫が指す指の先には立派な男性の像があった。
薫はかなり歴史に疎い。
「ここって上杉のお城だったのかな~?」なんて呑気なことを言ってる
「チガウ」
!?
誰!?
「愛弓?」
「なんでもないよ」
今…の、誰?
私じゃない誰かが勝手に…
いや…気のせい、だよね?
私は自分にそう言い聞かせ、気を紛らわせるように話の続きをした。
「謙信が住んでたわけじゃないけど、上杉のお城だよ。」
チガウチガウチガウチガウ
「!?」
さっきよりもはっきりした声が頭の中で響いた。