翔る。
「お前は殿の一番にはなれないよ」
…わざわざそんなこと言わなくていいのに。
そんなこと言われなくたってわかっている。
「五月蝿いわね。好きじゃないって言ってるでしょ!」
ああ、この上なく息苦しい。
苦しいの。
「もう私の見物はいいでしょ!出て行ってよね」
私は成実さんを押して強制的に部屋から追い出す。
どうしてか成実さんはニヤニヤと楽しそうに笑みを浮かべている。
こいつ、きっと私の心情わかっていてあんな言葉をかけたのだ。
「あなたって意地悪ね」
私はそう言ってピシャリとおもいっきり障子を閉じた。