追憶の蓋
「あーーーーっ、まずかった」

わざと大きな声で言って

缶をゴミ箱に投げ捨てる


「来て、たのか」

驚きを隠せずに息をのむ友達と


大丈夫?

そう言いかけてためらう親友に


あたしは手だけで返事して

ポケットから

彼のために買った

冷たくなってしまったコーヒーを

そっと道端に置いた


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