ストーカー
「どうして姫野さんが、あの時間に実家に帰ることを知っていたんでしょうか?」

言われてみればそうだった。

誰かに話した記憶すらない。


「実家に電話しましたか?」


「ええ…家の電話か…」


私はハッとした。

「でも、あの時、デスクも斎藤君も岡田君もずっと私といたわ!!」

「リビングで?」

「ええ…」

「電話があったのは?」


「それは…」

寝室だった。寝ている時に、手軽に対応できるからだった。


「でも、ずっと私達は一緒だったわ!」

「本当に? ちゃんと思い出してください」

「本当よ! あの時、私達は全員…」


私の糸が張り詰めた。
< 59 / 100 >

この作品をシェア

pagetop