ストーカー
「どうして? 彼が捕まった後でも私を付けれていたでしょう?」

加地はタオルで手を拭く。


「何も分かっちゃいないね、姫野さん」

「何が?」

「三人目の犯人は、存在してはいけないんだよ」

彼の動きが止まる。

「僕の計画上、岡田さんの逮捕で全て終わるつもりだった。だけど、姫野さんが僕のパソコンを勝手に見るなんて…」


彼は引き出しから『何か』を取り出す。


「ご、ごめんなさい…」

唇が震えてる。

加地が振り返る。

その手には鋭利な刃物が握られていた。


「姫野さん、どうかこの事は誰にも言わないで下さい」

私は後退りするだけで、言葉を発する事はできなかった。


「じゃなきゃあ、僕はアナタを殺してしまうよ…」

「嫌…イヤ!」

「その言葉、ゾクゾクさせますね。そうやって、斎藤さんも岡田さんも、僕を汚いばい菌の様に接していました」
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