ストーカー
「お前は、姫野さんが大好きだったんだよな!?」

「ええ、そうですよ」

「じゃあ、どうして紀山を止めようとしない!?」


加地は刑事を指差す。

「だから、今刑事さんに協力してもらってる訳じゃないですか」

「だが、お前は姫野さんの命より自分の釈放を優先にした…」

加地はこめかみに指を当てる。

「考えてみてください。紀山を警察に訴えたら、僕のしてきたことも明らかになり、逮捕される。そうなれば、僕が釈放される理由が無くなるじゃないですか」


「お前が実行する前に訴えたら…」

「刑事さん馬鹿だね。実行前だと証拠なんてありませんよ。でも、今ならあります」

刑事は身を乗り出す。

「何だ?」

「姫野さんの家の合鍵を持っています。盗撮カメラをコッソリ仕掛けたのも彼女です」


刑事は慌てて、取り調べ室を出る。

「紀山 千晴を捜せ! あと、彼女の家を物色しろ! 全ての怪しい物を回収するんだ! 他の者は丸井病院だ!」


その言葉を加地はしっかりと聞き逃さなかった。
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