ストーカー
――五十嵐と別れた加地は歩いて病院に向かっていた。


春なのに物凄く暑い。

彼は汗を流しながら、長い道のりをひたすら歩いていた。



「暑い〜」

ダラダラ流れる汗を拭こうと、ハンカチを取り出そうとした。


グゥフ!

鈍く重い音。

心臓部に突き出る刃物。


加地は首だけを後ろに向けた。

黒いハットを被り、サングラスをした男がいて、歯を見せて笑う。


「だ、誰だよ……」

加地は、そのまま崩れ倒れる。

「ひ、ひ、姫野さんをイジメるな!」

男はそう言って走り去った。

加地はもがいた。

彼は男がストーカーだと気付いた。
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