愛花
雅美と初めて美術館に行ったのは秋も深まった日だった。

海外の美術館展があるから見に行こうと誘ってくれたのだ。

友達同士で出かけるなんて初めてだったので少し不安だったが雅美に付いていけばいいのだから…と言い聞かせながら私は私を奮い立たせながらでかけていった。

雅美はよく出かける様で慣れた様子で電車に乗る。

駅で降りる。

美術館への道を迷わず進む。

私は置いていかれないように付いていく。

美術館に着いて中に入って行く。

初めて本物の絵を見た。

過去の偉大な画家たちが遺していったかけがえのない遺産…

圧倒的な迫力に押されっぱなしで人込みの中で雅美とはぐれてしまったことすら気が付かなかった。

気が付いたら中間地点にある休憩所の椅子に座り込んでいた。

呆然としていた私に雅美が声をかけてくれた。

゛見つけた!よかった。どこへ行ったかと思ったわ。″

゛あっ。ミヤビ…私…あのね…″

何を言っているのかわからなくなってしまった。

゛一緒に見よう。″

゛うん!″

みんな素敵だった。

最後まで見て美術館を後にした。

゛アヤ、ちょっと付き合って!″

゛うん。いいけど…″

雅美は私をあるブティックに連れていった。

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