愛花
゛おばさま!″

゛あら、雅美じゃない。お友達と一緒?いらっしゃい。雅美のお友達は大歓迎よ!ゆっくりしていってね。″

高級そうなブティックに連れていかれた。

雅美がおばさまと呼んだ女性は藍野まりという有名なデザイナーだった。

゛おばさま、あの絵、見せてもいいでしょ。アヤも絵を描くのよ。″

゛和哉の絵のこと?応接室に飾ってるからどうぞ。後で飲み物でも持っていくわ。″

゛はぁい!アヤ、行こう!″

゛あ、はい。おじゃまします。″

私は置いていかれないように雅美に付いて走っていった。

゛ここよ。″

雅美は黒いドアを開けた。

真正面に大きな額が飾られている。

壁一面に緑の葉を豊かに茂らせた木々の枝の間に愛らしい妖精たちが飛び回る姿が描かれている様に思えた。

私はなぜかこの絵に抱かれる気がした。

゛これはパパの一番上のお姉さんの息子の和哉さんが大賞をとった絵なの。さっきのおばさまはその下のお姉さん。うちのパパは和哉さんとは5つしか変わらないんだけどね。″

゛その和哉さんって″

゛事故で亡くなったらしいわ。私が産まれた頃に…″

゛そうなの…すごく暖かい絵を描く人なのね。″

゛だからアヤに見せたかったのよ。あなたの絵とどこか似ている感じがするのよ。″
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