愛花
ドアがノックする音がした。

゛雅美、お待たせ。オレンジジュースでいいわよね。″

゛おばさま、ありがとう!紹介するわ。真中妖子さん。学校の同級生よ。絵がとても上手なのよ。″

゛そんなことないって…真中です。はじめまして″

゛藍野です。雅美、我儘でしょ。でも好きと嫌いははっきりしてるでしょ。私が教えたのよね。自分のことははっきり伝えることってね。″

゛羨ましいです。ミヤビはしっかりしてるから、私は頼りないのでいつもひっぱってもらうばかりで…″

゛でもアヤには絵があるわ。充分自己主張してると思うけどな。″

゛そうかなぁ″

゛そうだよ。ただ世間を知らないだけよ。″

゛あら、じゃあ雅美、あなたは世間をよく知ってるみたいじゃないの。″

゛うん…アヤよりはね″

三人で笑った。

藍野さんは素敵な人だった。

゛今度ショーをするの。招待するから二人で来てね。″

゛ありがとう!おばさま。アヤ、行こうね!″

゛ありがとうございます。行きたいけどおじいさんとおばあさんに聞いてみないと…″

゛大丈夫よ。美術館に行くのは賛成してもらったんだし、今度も大丈夫よ。″

゛うんっ。聞いてみるわ。″

゛お待ちしてるわ″

藍野まりは楽しそうに笑った。
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