愛花
゛アヤちゃんを泣かすつもりはないよ。ミヤビとはもうダメなんだ。ミヤビも僕とは別れるつもりだと思うし、仕事がらみでミヤビに紹介されたんだけど。彼女には僕から話すからアヤちゃんは僕を見てほしい。″

しばらく何も言えなかった。

゛言わないで。ミヤビには言わないで。仲矢さんはミヤビの彼なの。私はミヤビの友達。彼女は裏切れない。今のことは賞を貰ったご褒美。…でしょ?″

゛僕の気持ちは…もう君しか見えない。ミヤビを愛せない…″

゛お願い…ミヤビを愛して……″

涙が止まらない。

本当の気持ちに気づいてしまったから。

私もあなたが好きです。

でも…ダメ。

雅美を泣かすことは出来ない。

雅美は…………

仲矢さんが泣いている…

男の人が泣くなんて。

私は仲矢さんを抱き締めた。

離れたくない。

愛してます。

愛してください…

離さないで…

初めて愛した人はかけがえのない親友の愛した人。

この泥沼に自らはまっていく私は母と同じなのかしら。

まどろみの中で考えた。

仲矢さんはやさしかった。

私は愛に包まれて幸せだった。

産まれたての赤ちゃんが両親に与えられる無償の愛のように。

幸せだった……
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