黒騎姫―Princess of black knight
【第一章】 勇者、魔王、そして黒騎姫
<プロローグ>
満身創痍の美しい男。
人に在らざる存在、魔王。
とどめを刺そうとする少女。
世界を解放せんとする、勇者。
勇者の剣が振り上げられた。
魔王が苦痛の表情で口を開く。
「……世界の半分をお前にやろう」
「なにをくだらないことを!」
「お前の愛する男――アルバード王子とは身分違いの恋だろう?」
「!?」
「このまま世界を解放したらその恋は……」
――キット、カナワナイ――
勇者の心に『少女』が還ってくる。