黒騎姫―Princess of black knight
――謁見が始まる。
護衛兵が最初の謁見者を高らかに呼びあげた。
「アルバード卿」
やっぱり! あの人だ。
ゆっくりと歩いてきて、あたしの眼下で一礼した。
目は合わせない、合わせてくれない。
当然よね。
あたしは、冷酷な魔王を演じた。
「なんじゃ、アルバード卿か。規則を無視して、朝一番の謁見を望んでいる厚顔無恥な『元』王族がいると聞いたが、まさか卿とはのう」
あたしは『元』を強調して言った。
家臣たちが追従してあざ笑い、アルバードは歯を噛みしめた。