黒騎姫―Princess of black knight

「しかし……」

「できぬのであれば、他の領主を据えるだけじゃ。……あぁ、わが配下の者で、領地を欲しがっている者がおったのう。若い娘がたくさんいる村が良いと申しておったが」

 アルバードの顔から血の気が引いた。

「分りました。ただ、かの魔物は大型で獰猛です。追い払う事にしても、人も魔物も無傷に済ませることは不可能かと」

「魔物の殺傷許可をくれ、か?」

「御意」

「ふーん? ……よかろう」

 家臣の魔物どもがざわめいた。

「ただし、期限は一日だ」

「一日!? 領地へ帰るだけで一日かかります!」

 ざわめいていた家臣どもが、今度はあざ笑った。
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