黒騎姫―Princess of black knight
「走れば半日だろう? ……まあ、良い。妾は寛大だからな。特別に二日やろう」

「ふ、二日……」

「その期間内であれば、魔物をどうしようが不問にしよう」

「……わかりました」

 アルバードはふらりと立ちあがると、謁見の間を出ようとした。

「何か忘れてないか?」

「は?」

「寛大な処遇に謝意の一つもないのか?」

「……寛大な処遇に感謝いたします」

「よろしい。……ああ、言い忘れたが、二日のうちに処理がつかなければ、新しい領主を赴任させる。そのつもりであたれ」

 アルバードは力なく頷いた。

「では、行くがよい。……次の謁見の者を通せ」
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