黒騎姫―Princess of black knight

 分身のあたしは、さっと部屋を出ていった。

「あたしはここよ。何の用?」

「今日の謁見のことですが……」

 げっ、まさか『計画』に気づいた?

「な、なによ?」

「一人称が『妾(わらわ)』とか、語尾が『じゃ』とか、昭和のお生まれですか?」

「まっ、魔王っぽくていいじゃない!!!」

 分身のあたしは怒鳴った。

 シモンもなにか言い返したようだけど、二人とも遠ざかって行ったので聞き取れない。

 分身のあたしがシモンを衣裳部屋から引き離したのだ。

 シモンめ…………『しょうわ』ってなによ?

 まったく!

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