黒騎姫―Princess of black knight

「魔族との契約は強力な魔法だ。それは知っているな?」

「……ええ」

 知ったのは後からだけど。

「契約上の必要性があれば、森羅万象の理(ことわり)さえも変質させる。お前のように、人が魔物へ変化するのもそうだ。だが、そう簡単に真の魔物になれると思うか?」

「……」

「あと一ヶ月というところだな」

「……契約から、ちょうど一年ですね」

「ほう、知っていたか。契約成立から一年で変質した理は確定する」

「苦労して調べました」

 魔城の書庫を隅から隅まで調べて分ったことだ。

「ならば、契約の解除条件は?」

「契約から一年未満に、契約当事者が解除に合意。あるいは当事者の一方が消滅」

「合意はまず不可能だろうが、消滅ならどうか。……消したいだろう?」

「……」
< 43 / 65 >

この作品をシェア

pagetop