黒騎姫―Princess of black knight
「魔族との契約は強力な魔法だ。それは知っているな?」
「……ええ」
知ったのは後からだけど。
「契約上の必要性があれば、森羅万象の理(ことわり)さえも変質させる。お前のように、人が魔物へ変化するのもそうだ。だが、そう簡単に真の魔物になれると思うか?」
「……」
「あと一ヶ月というところだな」
「……契約から、ちょうど一年ですね」
「ほう、知っていたか。契約成立から一年で変質した理は確定する」
「苦労して調べました」
魔城の書庫を隅から隅まで調べて分ったことだ。
「ならば、契約の解除条件は?」
「契約から一年未満に、契約当事者が解除に合意。あるいは当事者の一方が消滅」
「合意はまず不可能だろうが、消滅ならどうか。……消したいだろう?」
「……」