黒騎姫―Princess of black knight

 でも、チャザとその他のレジスタンスの大半は、魔物を憎悪している。

 憎しみを別にしても、ここで見逃せばいつか人に害をなす恐れもある。

 いま殺すのが道理ね。

 ところが、リーダーのアルバードが少数派になってしまい、レジスタンス内に妙な対立ができてしまったのだ。

 チャザも難しい立場だ。

 組織としてリーダーの考えを軽視するような行動はできない。

 他のメンバーが見ている前でリーダーを説き伏せるのも、後々、支障がある。

 さらに、アルバードという救国のシンボルに冷酷な判断を下させることで、人心へ及ぼすデメリットも考える。

 人は感情の生き物だけど、公人の立場で感情的に決定してはならない。

 でも、感情を排除した決定は人々に受け入れられない。
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