黒騎姫―Princess of black knight

――同じ頃、魔王フラン城。

「ふぎっ!」

 あたし(分身)は、頭への落下物の衝撃で、無様な声を出してしまった。

 珍しく、性悪執事シモンが目を丸くしている。

「フラン様……ソレは?」

「犬よ。見て分んない?」

「オルトロスの赤子ですね」

「オルトロスだろーとケルベロスだろ-と、犬っコロみたいなもんでしょ」

「どうされるおつもりですか?」

 ……決めてない。

 あの場を収めるために、あたし(本体)があたし(分身)のところへ跳ばしただけだから。

 っと、ひらめいた!

 押しつけて困らせてやろう。

 うひひ。
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