黒騎姫―Princess of black knight
そっか。
……でも、恩義に厚い人が魔王と取引をするものかしら?
「それに、商人というものは利があればまず信用できます。魔王との不当な取引より、王家との商売を再開して得られる利益の方が、当然、大きいでしょう。魔王討伐に協力したとなれば箔も付きますし」
よくわかんないけど、そういうものかも知れない。
アルバードが口を開く。
「私はその者を信じることにした。そして、私が信頼するレジスタンスのメンバーで攻めたいのだ。できるだけ早期に実行して、解放したい。……その、かの地の人々を」
「それは良いこころざしではあります。しかし、拙速に過ぎれば勝機も失いましょう」
チャザの表情は硬い。
「潜入して魔王を討つというのは、所詮は奇策。外からも軍勢を寄せ、魔王軍を引きつけなければ活きる策ではありません」