黒騎姫―Princess of black knight

――同じ頃、魔王フランの城。

 あたし(分身)は、ちょっとだけ焦っていた。

 侵入者が城の結界を破りつつこちらへ向かっている。 

 警備の魔物が走り回り、人間は右往左往していた。

 まずいわね。

 こんなことをやれるのはあいつしかいない。

 招かざる客、魔王オトフリート。

 わざわざ結界を破ってくるあたりは、あいつなりにノックのつもりなのだろう。

 まずいわね、ホントにまずいわね。

 分身のあたしでは、さすがに魔王を相手にはできない。

 本体のあたし、早く帰ってきて~!
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