黒騎姫―Princess of black knight

 一年前。

 あたしは魔王から世界の半分を譲り受けた。

 別に、世界なんか欲しくなかったよ?

 でも、平和な世界になったら、『あの人』との関係はなくなっちゃうと思った。

 『あの人』――アルバード王子。

 あたしが男の勇者で、あの人がお姫様だったら、問題はなかったかも知れない。

 世界を救った勇者をお姫様の伴侶……王に向かえるって、吟遊詩人の定番のパターン。

 でも、王妃の方が勇者だと、王の威厳ってゆうのかな、それがなくなっちゃうらしい。

 それでも。

 あの魔王との最後の決戦の前、アルバードは言ってくれた。

 身分なんか関係ない、って。

 魔王との戦いが終わったら、あたしと――。

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