僕は
 江美が帰りのタクシーの中で、


「夕飯どうする?」


 と訊いてきた。


「多分事務所に出前取ってあると思うよ。チャーハンか麺類か何かが」


「じゃあ、あたしもいただいちゃおう」


 彼女はお嬢様育ちなので、普段から事務所で取ってある出前のラーメンなどはほとんど食べない。


 だけど<郷に入れば郷に従え>という言葉通り、お腹が空けばラーメンでもうどんでも蕎麦でも食べるつもりでいるようだった。


 揃って事務所に戻る。


 タクシーを事務所のあるビル前に付けてもらい、歩き出す。


 これからまた仕事だ。


 残務をこなす合間に、自室で食事を取ることにした。


 今が午後五時半だから、多分出前は午後七時前ぐらいに届くと思う。
< 110 / 359 >

この作品をシェア

pagetop