僕は
第18章
     18
 事務所に戻ると、僕も江美もフロア内にいた先輩弁護士たちに一礼し、お互い自分の個室へと歩き出す。


 空腹感を覚えていたのだが、先に自分だけ食事を取るわけにはいかない。


 午後七時前ぐらいに出前が来るので、それまで待つことにした。


 自分の個室に入り、パソコンを立ち上げると、メールが数件来ている。


 目を通すべきものには目を通しながら、必要のないものは随時削除した。


 僕の仕事の基本は業務用メールのチェックと電子資料の読み込みだ。


 後はずっとキーを叩き続け、資料を作ったりする。


 今回は須山のサブとして木崎朱莉の弁護をやっている。


 無実の人間に対し、罪を着せた篠岡と中邑を絶対に許せないと思っていた。


 幸い凶悪犯は二人とも立件され、こちらが改めて手を打つことはない。
 

 篠岡たちの弁護はうちの事務所の弁護士じゃなくて、川谷勝也の所属する品川ボールディング法律所の人間がやっていた。

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