僕は
第19章
     19
 淹れ立てのコーヒーをカップに一杯飲みながら、疲れていた体に活を入れる。


 カフェインは摂取しすぎるとよくないと思っていたが、業務がほとんどパソコンに向かってなので、眠気が差すことが多くて飲んでいた。


 須山の部屋を覗き込むと、すでに仕事をしているようだ。 


 十二月上旬に第二回の証人調べと第二審の結審が東京高裁にて執り行われる。


 僕は須山のサブとして付くつもりでいた。


 先輩弁護士たちに対するお手伝いで資料などを作る合間に、刑法の勉強もしている。


 もう一度法律について学習し直してみるいい機会かもしれない。


 検事の能島はまた新証拠を提示しようとしてくるだろう。


 それは十分分かっていた。


 もちろん、第一審での無罪判決を覆せるような相当大きな証拠を出さないと、また原告側の敗訴になる。


 須山の仕事ぶりを見ていて思った。

< 120 / 359 >

この作品をシェア

pagetop