僕は
「じゃあ送るよ」


 彼女に対しそう言って歩き出す。


 江美も特にやることはなかったようで、


「帰宅したらすぐに寝るわ。とってもきつかったし。今日一日の裁判の傍聴だけでも」


 と言った。


「君も畑こそ違ってても、ああいった裁判は勉強になるだろ?」


「ええ。でもとにかく今はきつい。ゆっくり休みたい」


「明日からはまた通常通り業務だ。俺から木崎さんに言っておくよ。『罪も晴れたことですし、これからはご自身の人生を歩んでいってください』ってね」


「そうね。木崎さんは自由の身だからね。もういたずらに疑われることなく」


「それにしても検事の能島はグーの音も出なかったよな。須山先生の前では」


「そうだったわね。まるで大人と子供ぐらい違ってたわ。裁判だって須山先生の圧勝だったし」


 揃って事務所を出た。
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