僕は
 互いにスーツを着て、上から厚手のコートを羽織っている。


 ゆっくりと歩き出す。


 タクシーが拾える目抜き通りまで歩いていき、時折夜空の星を見上げながら。


 遅い時間だった。


 午後八時を回っていて、辺りは真っ暗だ。


 江美をタクシーに乗せて送る。


 彼女は眠そうだった。


 やはり長時間法廷にいると、いくら傍聴席から見ているとはいえ、疲労は並大抵のものじゃないだろう。


 明日からいつも通り、仕事をする。


 喉や頭が痛くて熱もあった。


 風邪だろう。


 江美を送った後、事務所の部屋に戻り、出前のラーメンを食べてから、部屋に常備している市販の風邪薬を飲んだ。
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