僕は
 容疑は新宿のラブホテルの一室での殺人容疑だ。


 木崎が誰かから電話で呼び出されて、部屋に着たとき、すでにベッドの上に死体があったのだった。


 驚いて真っ先に110番通報し、警察が来たときに事情を話したらしい。


 ただ警察官は遺体の第一発見者イコール殺人犯だという決め付け方で、警視庁内にある取調室において、何度も執拗に取調べを続けたようだ。


 僕も確かに膨大な量がある調書を読んでいて、矛盾点を感じていた。


 木崎のケータイに掛かってきたのは電話帳に未登録の番号で、声もボイスチェンジャーで変換されていたらしい。


 何かがあると思った。


 つまり結論から言うとすれば、木崎は誰かに嵌められたのだ。

 
 彼女の番号を入手でき、ボイスチェンジャーで変換して流せる誰かが。


 木崎は涙を流し続けた。


 気持ちは十分分かる。
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