僕は
ずっと今の法律事務所で働き続けていた。
奥さんと娘さんを亡くされてからもずっと。
そう言えば、須山の部屋の一角に写真が飾ってある。
家族三人で写った古い写真だ。
それを見て思ったのは、須山が死んだ妻子のことを忘れられないことである。
だから再婚せずに独身を通しているらしい。
人間は誰でも他人には簡単に言えない過去を持っている。
秘密として。
今、食事を取っている横顔をチラッチラッと見ていると、それが手に取るように分かった。
業務時間はすでに始まっていて、ゆっくりする暇はない。
須山が卵掛けご飯を食べ終わり、牛肉とタマネギの炒め物も食べてしまうと、立ち上がり、
「先行くぞ。食事代は出しとくから、食べ終わったら事務所に戻ってこいよ」
奥さんと娘さんを亡くされてからもずっと。
そう言えば、須山の部屋の一角に写真が飾ってある。
家族三人で写った古い写真だ。
それを見て思ったのは、須山が死んだ妻子のことを忘れられないことである。
だから再婚せずに独身を通しているらしい。
人間は誰でも他人には簡単に言えない過去を持っている。
秘密として。
今、食事を取っている横顔をチラッチラッと見ていると、それが手に取るように分かった。
業務時間はすでに始まっていて、ゆっくりする暇はない。
須山が卵掛けご飯を食べ終わり、牛肉とタマネギの炒め物も食べてしまうと、立ち上がり、
「先行くぞ。食事代は出しとくから、食べ終わったら事務所に戻ってこいよ」