僕は
 半ば不当な形で逮捕され、警察による誘導尋問のようなもので自白まで強要されて、挙句起訴されたという。


 僕も力になるつもりでいた。


 接見は時間が限られている。


「また来ます。安心してていいですよ。必ず木崎さんを救って差し上げますから」


「お願いします。お願いします」


 木崎は何度も頭を下げ、担当弁護士である僕に泣きつくような素振りを見せた。


 僕は部屋を出、東京拘置所の駐車場に停めていた車に乗り込み、エンジンを掛けて走らせる。 


 一仕事を終わったので、ケータイのフリップを開き、着信があったことに気付く。


 江美からだった。


 リダイヤルで掛けてみる。


 呼び出し音が鳴って数秒後に、


「はい」
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