僕は
 だけど責任を持ってやるつもりでいた。


 刑法を扱う僕の上に直属の上司として、須山弁護士がいる。


 須山は慣れているようだった。


 昔からずっと刑法の畑で弁護士人生を送ってきていたし、僕の東都大の先輩でもある。


 須山は東都大の文学部に現役合格して、三年次の専攻を決めるとき、法学部に転部した異例の経歴の持ち主だ。


 そして在学中に旧司法試験に合格している。


 僕も驚いていた。


 須山の頭脳の明晰さに。


 世代的には幾分遠いのだが、僕は基本的に須山の雑用係だ。


 六本木のカフェで江美は一体何を話すのだろう……?


 そればかりが気になっていた。


 ハンドルを握りながらも。

< 16 / 359 >

この作品をシェア

pagetop